OpenAI o1 の使い方、料金、制限やGPT-4との比較について徹底解説!ChatGPT4oに次ぐ最新モデルo1-previewとo1-mini
- 2024.11.07
- ChatGPT
2024年9月12日、OpenAIは最新のLLMモデルシリーズ「OpenAI o1」を発表しました。GPT-4に続くこのシリーズは、AIが「より長く考える」能力を強化し、複雑な問題解決に特化して設計されています。この記事では、o1シリーズの全貌、o1-preview、o1-miniの特徴と性能、GPT-4との比較、活用方法、料金体系、そして今後の展望までを網羅的に解説します。
- 1. OpenAI o1 とは?その読み方と意味
- 2. OpenAI o1 シリーズのモデル: o1-preview と o1-mini
- 3. o1-preview: 高度な推論能力を備えたモデル
- 4. o1-mini: 速度とコストパフォーマンスを重視したモデル
- 5. OpenAI o1 の性能・特徴: GPT-4との比較
- 6. 処理アプローチの違い: じっくり考える o1 vs 幅広く対応する GPT-4
- 7. GPT-4o と o1-previewの特徴比較表
- 8. GPT-4o と o1-previewとo1-miniの機能比較表
- 9. OpenAI o1 の料金体系: 無料版は?
- 10. API料金の詳細
- 11. OpenAI o1 の使い方
- 12. API を使った o1 の活用方法 (openai o1 api)
- 13. OpenAI o1 利用時の注意点
- 14. プロンプトの書き方
- 15. OpenAI o1 (ChatGPT o1) の活用事例
- 16. OpenAI o1 の未来と展望
- 17. まとめ
OpenAI o1 とは?その読み方と意味
OpenAI o1は、複雑な問題解決に特化した大規模言語モデルです。人間のように問題について深く考え、様々な角度から検討してから答えを導き出すように設計されており、回答までに数十秒の思考タイムが発生するのが特徴です。
「オーワン」と読みます。
o1の名前の由来はOpenAIの”o”から来ています。GPTシリーズではなく新たに”1″から始まるのは、これまでのGPTシリーズとは異なる、新しい能力レベルを示しているためです。これは、単なる言語モデルの進化ではなく、推論能力という新たな次元での進化を象徴しています。
o1は、従来の言語モデルのように大量のテキストデータを学習するだけでなく、その知識をどのように活用し、複雑な問題をどのように解決するかという推論プロセスに重点を置いて開発されました。これは、人間が問題解決を行う際に、知識だけでなく論理的思考や戦略的思考を用いるのと似ています。
o1 の中核となる技術: 推論トークン
o1の推論能力の鍵となるのが「推論トークン」です。これは、o1が思考プロセスを内部的に表現するために用いる特殊なトークンです。o1は、ユーザーからの質問を受け取ると、まずその内容を理解し、関連する知識を検索します。そして、推論トークンを用いて、複数の思考ステップをシミュレートし、最適な解決策を導き出します。このプロセスは、人間が頭の中で思考を巡らせ、様々な可能性を検討するのと似ています。
o1の推論プロセスは、以下のステップで構成されます。
- 質問の理解: ユーザーからの質問を解析し、その意図を理解します。
- 知識の検索: 関連する知識をデータベースから検索します。
- 推論トークンの生成: 思考プロセスを表現するための推論トークンを生成します。
- 思考のシミュレーション: 推論トークンを用いて、複数の思考ステップをシミュレートします。
- 解決策の導出: 最適な解決策を導き出します。
- 回答の生成: 導き出された解決策に基づいて、回答を生成します。
参考:OpenAI
この推論トークンを用いた思考プロセスにより、o1は複雑な問題に対しても、人間のように論理的に思考し、最適な解決策を導き出すことができます。
OpenAI o1 シリーズのモデル: o1-preview と o1-mini
OpenAIは、o1シリーズとしてo1-previewとo1-miniを公開しています(o1, o1-ioiは非公開)。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
o1-preview: 高度な推論能力を備えたモデル
o1-previewは、o1シリーズの主力モデルであり、高度な推論能力を備えています。その性能は、様々なベンチマークテストで証明されています。
- 理数系の驚異的なパフォーマンス: o1-previewは、理数系の問題において驚異的なパフォーマンスを発揮します。数学オリンピック予選では83%の正答率を記録し、Codeforcesでは上位11%に入るスコアを達成しています。
- 博士課程レベルの思考力: その推論能力は、博士課程の学生レベルに匹敵すると評価されています。特に、医療研究、物理学、ソフトウェア開発などの分野で、その能力を遺憾なく発揮します。
- 安全性への配慮: o1-previewは、安全性にも十分に配慮して設計されています。ジェイルブレイクテストでは84/100点を獲得しており、悪用されるリスクを最小限に抑えています。
o1-previewの高度な推論能力は、様々な分野で革新的な応用を可能にします。
- 医療研究: 細胞シーケンシングデータの解析など、高度な分析能力が求められるタスクに活用できます。
- 物理学: 量子光学の複雑な数式生成など、高度な数理処理能力が求められるタスクに役立ちます。
- ソフトウェア開発: アルゴリズム設計など、高度な論理思考能力が求められるタスクを効率化します。
- 教育: STEM分野の問題解決支援など、学生の学習をサポートするツールとして活用できます。
- 研究開発: 新理論構築、複雑なデータ分析など、研究開発プロセスを加速させます。
o1-mini: 速度とコストパフォーマンスを重視したモデル
o1-miniは、o1シリーズの軽量版であり、速度とコストパフォーマンスを重視したモデルです。o1-previewの基本的な能力を継承しつつ、より高速な処理と低価格を実現しています。
- STEM分野での高い性能: o1-miniは、STEM分野のタスクにおいて、o1-previewと同等以上の性能を発揮します。特に、コーディングタスクにおいては、o1-previewを上回る性能を示しています。
- 高速処理: o1-previewと比較して、約3倍の速度で処理を実行できます。これにより、リアルタイム処理が必要なアプリケーションにも対応できます。
- 低価格: API利用料金は、o1-previewの5分の1に設定されています。コストを抑えながら高度な推論能力を活用したいユーザーに最適です。
o1-miniの速度とコストパフォーマンスは、様々な分野での活用を可能にします。
- コーディング支援: 高速なコード生成とデバッグにより、開発効率を向上させます。
- リアルタイムデータ分析: 大量のデータをリアルタイムで分析し、迅速な意思決定を支援します。
- 教育用ツール: 学生が手軽に高度な推論能力を利用できる学習ツールとして活用できます。
OpenAI o1 の性能・特徴: GPT-4との比較
o1シリーズがSTEMタスクで高度な推論力を発揮する一方、人間の評価では言語処理を重視する分野においてはGPT-4oの方が優れているという結果が出ています。
GPT-4oとo1シリーズの分野別の勝率 (参考:OpenAI)
上記からわかるように、o1シリーズが数学・科学技術分野に特化している反面、一般的な言語タスクや幅広い知識を要する課題では、従来のモデルに及ばない可能性があることを示唆しています。
このような特性は、o1シリーズの用途や適用範囲を考える上で重要な点となります。
o1シリーズは、GPT-4と比較して、いくつかの点で優れた性能と特徴を備えています。
- 理数系に強い: o1は、科学、コーディング、数学など、複雑な思考を要する分野で特に優れたパフォーマンスを発揮します。GPT-4もこれらの分野である程度の能力を示しますが、o1はより高度な問題解決能力を備えています。
- 長い思考連鎖: o1は、回答前に数十秒の思考タイムが発生します。これは、o1が複数の思考ステップを踏んで、より正確な回答を導き出していることを示しています。GPT-4も思考連鎖は行いますが、o1ほど深く複雑な思考は行いません。
- メタ認知能力: o1は、自身の思考プロセスを認識し、異なる戦略を試したり、間違いを認識したりする能力、つまりメタ認知能力を備えています。これは、AIがより人間に近い思考プロセスを持つことを示唆しており、今後のAI開発における重要な一歩となるでしょう。GPT-4はメタ認知能力は限定的です。
- 安全性の向上: o1は、安全性にも十分に配慮して設計されています。違法なアドバイスの生成やステレオタイプな対応などのリスクを軽減するための対策が強化されています。GPT-4も安全性の向上に努めていますが、o1はより高度な安全対策を備えています。
処理アプローチの違い: じっくり考える o1 vs 幅広く対応する GPT-4
o1-previewとChatGPT4oは、問題解決の方法が異なります。o1-previewは複雑な問題に対してじっくり時間をかけて考えます。数学や科学の難しい問題を解くときのように、段階を踏んで深く考え抜いてから答えを出します。一方、ChatGPT4oは幅広い知識を使って素早く対応します。雑談をするように、様々な話題にすぐに反応できます。文章の意図をよく理解し、自然な会話ができるのが特徴です。
GPT-4o と o1-previewの特徴比較表
特徴 | o1-preview | ChatGPT-4o |
思考スタイル | じっくり考え抜く | 素早く幅広く対応 |
得意分野 | 複雑な理系問題 | 多様な話題の会話 |
処理時間 | 長め | 短め |
知識の使い方 | 深く掘り下げる | 広く活用する |
回答の特徴 | 段階的で論理的 | 柔軟で文脈に応じた |
GPT-4o と o1-previewとo1-miniの機能比較表
機能 | GPT-4o | o1-preview | o1-mini |
推論能力 | 高い | 非常に高い | 高い |
処理速度 | 高速 | 低速 | 中速 |
コスト | 低い | 高い | 中間 |
STEM分野の性能 | 優れている | 非常に優れている | 優れいている |
言語タスクの性能 | 非常に優れている | 優れている | 普通 |
安全性 | 高い | 非常に高い | 高い |
OpenAI o1 の料金体系: 無料版は?
- ChatGPT: ChatGPT Plus、Team、Enterprise、Eduプランのユーザーは追加料金なしで利用可能。
- API: o1-miniはo1-previewの80%安価。1-2年ごとに値下げ予定。
現時点では、OpenAI o1 無料 版は提供されていません。将来的に無料ユーザーへo1-miniの提供が検討されていますが、公式な発表はまだありません。
API料金の詳細
OpenAI o1のAPI料金は以下の通りです。
モデル | 入力トークン料金 | 出力トークン料金 |
o1-preview | 100万トークンあたり15.00ドル | 100万トークンあたり60.00ドル |
o1-mini | 100万トークンあたり3.00ドル | 100万トークンあたり12.00ドル |
o1-miniモデルは、o1-previewモデルと比較して、入出力ともに5分の1のコストです。
OpenAI o1 の使い方
ChatGPTのトップ画面左上の、モデル切り替えボタンから切り替え可能です。
API を使った o1 の活用方法 (openai o1 api)
OpenAI o1 は、OpenAIのAPI経由でも利用することが出来ます。API経由で利用することで、セキュアな環境で利用が可能です。API使用ティア4, 5の開発者のみ、利用可能(9月25日時点)現時点での制限:~1,000 リクエスト/分 機能制限:関数呼び出し、ストリーミング、システムメッセージ未対応 開発者向けドキュメントで詳細を確認可能 今後、制限の緩和と機能追加を予定 ChatGPT o1 の制限に困っている場合、API経由で利用した方が十分な量が利用できるということです。OpenAI o1をAPI経由で利用するには、法人向けChatGPTサービスのようなベンダーを活用するのが簡単です。
OpenAI o1 利用時の注意点
o1(o1-preview)は、従来のGPTシリーズとは異なる特徴を持っています。高度な推論能力を備えたこのモデルを効果的に活用するには、プロンプトの書き方や利用回数の制限に注意が必要です。以下、具体的な利用のポイントと制限について説明します。
プロンプトの書き方
o1モデルは従来のGPTシリーズと異なり、「人間が自然に質問するような形で使うのが最適で、複雑な指示や余計な情報は逆効果になる可能性がある」とOpenAIが見解を示しています。
- シンプルさを重視: 複雑な指示よりも、簡単で明確な指示の方がうまく機能します。
- 自然に考えさせる: 「段階的に考えて」などの指示は不要です。モデルは自動的に深く考えるようプログラムされています。
- 情報を整理する: 引用符やタグを使って、入力情報を明確に区分けすると良いでしょう。
- 関連情報に絞る: 追加情報を与える場合は、本当に必要な情報だけに絞りましょう。
回数制限について
o1-previewは週50メッセージ、o1-miniは1日50メッセージの制限があります。
OpenAI o1 (ChatGPT o1) の活用事例
- 複雑なパズルを解読: 論理的思考が必要なパズルを解くことができます。
- プロンプトからビデオゲームのコードを作成: ゲーム開発の効率化に貢献します。
- GPT-4oでは不可能な複雑な言語翻訳: より高度な翻訳タスクをこなせます。
OpenAI o1 の未来と展望
OpenAI o1 はまだ開発の初期段階にありますが、その潜在能力は計り知れません。今後の発展により、以下のような分野での活用が期待されます。
- 科学技術の進歩: 新素材の開発、新薬の発見、宇宙探査など、科学技術の進歩に貢献する可能性があります。
- ビジネスの効率化: 経営戦略の策定、マーケティング分析、顧客対応など、ビジネスの様々な分野で効率化を促進する可能性があります。
- 社会課題の解決: 貧困、環境問題、教育格差など、複雑な社会課題の解決に貢献する可能性があります。
まとめ
OpenAI o1は、複雑な問題解決に特化したAIモデルであり、STEM分野をはじめ様々な分野での革新的な応用が期待されています。まだプレビュー段階ですが、今後の発展に注目です。
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