ChatGPT法人向けと個人向けプランの違いとは？業務活用に最適な選択肢を解説【最新版】

OpenAIが提供している生成AIモデル

OpenAI社が提供するGPTシリーズは代表的な大規模言語モデルとして有名ですが、機能性やプランの異なるモデルを複数展開しています。現在提供されているモデル一覧が以下になります。

GPTシリーズ（o1-preview, GPT-4o,GPT-3.5等）

大規模言語モデルで、GPTシリーズは、チャット、コード生成、文章作成、要約など人間が与えた指示や命令を理解し、それに従って行動できる「命令追従能力」があります。

GPTモデル一覧表

DALL-E（DALL-E 2, DALL-E 3）

テキストからリアルな画像を生成できるAIモデル。DALL-E 3はさらに高解像度の画像生成や編集が可能で、DALL·E 2には既存の画像を編集したり、ユーザーが提供した画像のバリエーションを作成したりする機能があります。DALL·E 3とDALL·E 2はOpenAIのImages APIを通じて利用できるのと、ChatGPT Plusを通じて試すこともできます。

TTS

TTSは、Text-to-Speech（テキスト読み上げ）技術を指しており、テキストを自然な音声に変換するAIモデルです。OpenAIでは2つのTTSモデルを提供しており、tts-1はリアルタイムでの音声合成に最適化され、迅速なレスポンスが求められるユースケースに向いています。一方、tts-1-hdは音質に優れ、高品質な音声生成が必要な場面に適しています。これらのモデルは、OpenAIのAudio APIのSpeechエンドポイントを通じて利用できるため、さまざまなアプリケーションで音声合成を活用できます。

Whisper
WisperはSpeech-to-Text（音声認識）の技術で、音声データをテキストに変換するための音声認識モデルです。多言語の音声認識、音声翻訳、言語識別といったマルチタスクを実行できる特徴をもち、現在、Whisper v2-largeモデルは「whisper-1」というモデル名でAPIを通じて利用可能です。

Embeddings
Embeddingsは、テキストを数値データ（ベクトル）に変換し、検索、クラスタリング、レコメンデーションなどに利用します。最新の「text-embedding-3-large」モデルは多言語に対応しており、小型で非常に効率的なtext-embedding-3-smallモデルも同時に提供されています。主にRAG（検索拡張生成）を行う際にEmbeddingsはよく登場します。

Moderation
Moderationモデルは、OpenAIの使用ポリシーに従ってコンテンツをチェックするために設計されています。ヘイト、自己傷害、性的コンテンツ、暴力などのカテゴリを分類し、テキストや画像の不適切な内容を検出します。最新のモデル「omni-moderation-latest」はGPT-4oに基づいてマルチモーダルに対応おり、特に非英語の言語での精度が向上しているのと、テキストと画像の両方の入力を処理できます。Moderation APIを通じて無料で利用可能です。

OpenAIが提供しているプラン

ChatGPTの料金体系

ChatGPTは、個人利用から企業利用まで、幅広いニーズに対応する4つの料金プランを提供しています。

OpenAI社が提供するAPI

現在（2024年9月）OpenAI社がAPIで提供しているサービスは以下になります。

最新モデルのAPI（OpenAI）

• Batch API利用時は料金が50%割引。
• 1,000トークンは約750単語に相当。トークン数の計算はこちらのTokenizerToolで確認できます。
• アシスタントAPIは使用する言語モデルのトークン料金が適用され、コードインタープリタ（$0.03 / セッション）とファイル検索（$0.10 / GB/日、1GB無料）の追加料金があり。_{※GBはバイナリギガバイト（1 GB = 2^30 バイト）を指します。}

業務活用に最適な選択肢とは？

ChatGPTのモデル、プランや料金について理解できたところで、業務利用の観点で検討した時にどの選択肢が最適なのか各プランに焦点をあてて解説していきます。

ChatGPTの個人利用

個人でChatGPTを利用するには、アカウントを作成し、OpenAI社のサービス上で会話します。デフォルトでは会話履歴がAIの学習に利用されますが、設定で無効化できます。ただし、無効化すると履歴の閲覧もできなくなります。アップロードされたファイルは一時的な処理に使用され、通常30日以内に削除されます。

ChatGPTの法人利用

法人向けには、ChatGPT TeamsとChatGPT Enterpriseの2つのプランがあります。どちらのプランも会話履歴やアップロードされたファイルはAIの学習には利用されません（オプトアウト）。

ChatGPT Teams: 小規模～中規模組織向け（2名以上のチーム）で、月額$25/ユーザーです。基本的なデータ分析、カスタムGPTの作成・共有、標準的なセキュリティ機能を提供します。管理コンソールでチームメンバーの管理も可能です。

ChatGPT Enterprise: 大規模組織向け（150名以上）で、高度な機能を提供します。GPT-4への無制限・高速アクセス、32Kトークンのコンテキストウィンドウ、高度なデータ分析機能が無制限に利用できます。SOC 2準拠のセキュリティ、カスタマイズされたデータ統合、SSO、MFA、データ暗号化など、高度なセキュリティ機能も備えています。ChatGPTワークスペース（管理者画面）で権限設定や利用状況の統計情報などを確認できます。

注意点: ChatGPT TeamsとChatGPT Enterpriseどちらも、管理者権限でもユーザーの会話履歴をすべて閲覧することはできません。

ChatGPTのAPI利用

ChatGPTのAPIを利用して、自社開発サービスにChatGPTを組み込むことも可能です。法人向けChatGPTサービス事業者は、APIを介してサービスを提供しています。API利用でも、会話履歴やアップロードされたファイルはAIの学習には利用されません。OpenAI社は不正使用特定のために最大30日間データを保持しますが、zero data retention (ZDR) 申請でログを残さない設定も可能です。

APIを利用することで、ユーザーの権限設定、閲覧履歴、利用動向、統計情報などを管理するプラットフォームを独自に開発し、セキュリティを担保しながら国内事業者にとって使いやすい機能を実装できます。

最新モデルのo1-previewとo1-miniは質問送信数に制限がありますが、APIを利用するTier 5ユーザーは1分間に最大20リクエストを送信可能です。従量課金制のため、利用できるモデルに制限がある場合もありますが、API利用により柔軟性を高めることができます。

_{生成AI技術は急速に進化しており、OpenAI社が提供するプランも流動的です。本記事では最新情報をお届けするよう努めていますが、OpenAI社の公式HPも合わせてご確認ください。}

まとめ

セキュリティや組織管理の観点からChatGPT Enterpriseが最もいいプランであることは間違いないですが、人数規模感がある程度必要であることと、OpenAIの営業担当者との会話が英語で実施されることが想定されます。またサポートドキュメント等も英語なので、国内のユーザーにとっては少し導入しにくい印象はあるかもしれません。また、数十人規模の組織であれば、ChatGPT Teamsという選択肢もでてきますが、ChatGPT Enterpriseほど管理機能が充実していません。

国内においては、ChatGPTのAPIを利用した、法人向けChatGPTサービスを提供する事業者についても網羅的に調査をした上で業務活用の検討を模索してみてはいかがでしょうか。